Concept Work

時代背景と取り巻く環境から現状を分析し、この現状をどのように変えどのような未来をつくりたいのか、ファブラボの基本方針に乗っ取りながらも「個」として社会とどう関わりどのような付加価値でもって世の中に貢献できるかを考えました。

本作業をコンセプトワークと名付け、それを基にファブラボ広島のミッションを定め、コンセプトを立てました。

全体概要

これが今回行ったコンセプトワークの全体像。

上段が「過去・現在,取り巻く環境」を踏まえての現状分析であり、下段が「つくりたい未来(変えたい現状)」である。

上段から下段への矢印は、変えたい現状からつくりたい未来へ向いている。

下段の矢印は、規模の流れや関連性を示している。規模の流れとは、「一対一から一対多」、「家族から地域・社会」という意味である。

また、中央の囲いは、上段から下段へシフトさせるために必要な機能であり、ファブラボ広島が果たすべきミッションとも言える。

以下、上段から順に見ていくとする。

背景 〜取り巻く環境〜

時代の変化(パラダイムシフト)よって、今までは限られた専門家、あるいは企業の既得権益だった「ものづくり」が個人の元へやってこようとしている。
それは、技術含め、つくるために必要な工作機械の低価格化などがもたらした結果であり、それに伴って、産業革命までは当たり前であった「自分でつくる人」という存在が現れフューチャーされ始めている。

それと同時に「何故、つくるのか」という議論も盛んに行われ、つくるという行為そのものがもつ機能やつくったものが周囲に及ぼす作用についてが主なテーマとなっている。
「つくらない時代」、機械による大量生産の時代を経たことが議論の再燃に拍車をかけているように思う。

上段 〜過去・現在〜

上段は、過去・現在における不満や不安などのどちらかと言えばネガティブな項目が並び、集約すると以下のような意見が挙げられる。

  • 「つくるより買う方が早いし、他にやりたいことがありそっちに時間を使いたい(つくることに時間を使いたくない)」
  • 「家族で過ごす時間が少なくなるし、コンシューマーでいる方が楽で良い」
  • 「ものづくりって男子が1人暗い部屋で黙々とやっているネクラなイメージがあり、コミュニケーションがない」
  • 「友達と遊ばずに1人部屋でゲームをやっているようなイメージで健康に悪そう」

下段 〜未来〜

一方、下段は上段(過去・現在)を踏まえながら希望に満ちたつくりたい世界なのでポジティブな意見が並び、集約すると以下のようである。

  • 「つくることで、自分自身の心が満たされ豊かになる」
  • 「自分の存在意義が見出せる。アイデンティティー(自分らしさ)を再認識できる」
  • 「<買う>・<捨てる>のサイクルを俯瞰して見れたことで、環境問題等のあまり身近に感じれなかった問題を自分自身の問題として身近に感じることができる」
  • 「買って捨てるからつくって使うになる」
  • 「ものづくりは、個人とは一線を画すような身近に感じることが難しい問題をパーソナライズしてくれる」
  • 「ものづくりは、社会とのつながりを取り戻してくれるツールであり、今の時代に必要なものである」
  • 「家族全員でものづくりをする経験を通じて今まではバラバラだった家族の絆を取り戻すことができる」
  • 「ものづくりを通じて地域の人々とのつながりを取り戻すことができる」
  • 「ものづくりは、子供の教育にも良い」
  • 「かわいい、きれいなアクセサリーなど(ワイワイ・ガヤガヤ)女性にも楽しめるものづくりの場」
  • 「もっともっとものづくりの技術を高め世界に向けてオリジナル性に富んだオンリーワンのモノを発信し、世界とつながりたい」
  • 「ファブニケーション(ファブリケーション+コミュニケーション)で世界とつながりたい」

ミッションについて

ここで期待するのは、上段のような人々が下段のような人々に変わることであり、そのきっかけをつくり、道をつくるのがファブラボ広島の役割(ミッション)であるとした。

「年齢・性別・ものづくり経験の有無にかかわらず 誰もがアイデアを形にできるテクノロジーにアクセスできるようにする」

というミッションは、上段から下段へおりていくための階段のような機能を言語化したものである。

また、つくる人を見て、つくらない人が「僕も,私もつくってみたい」と思うようになる、そのきっかけは、その場に溢れる笑顔かもしれないし、周囲より少し温度が高くなったようなあたたかさかもしれない。
つくるということは、何らかの成果物を生むことであり、それは誰かの目に入り心を動かす可能性があるということ。
誰かの心をあたたかくするよなものを生み出すことができたら、自分の心もあたたかくなる。
だから、周囲より温度が高くなったような雰囲気をつくることができるのかもしれない。
そして、またつくるモチベーションとなりつながっていく。

「テクノロジー(技術)」「テンペラチャー(温度)」を強く意識しながらミッション・コンプリートを目指す。

コンセプトについて

ファブラボ創設に当たり、実際に街を歩き街並みを肌で感じ、地域との調和を保ちながらも時代の先端を行く場所の創設を目指しました。
100m歩けば神社、お寺に遭遇するこの地域において、「ものづくりを学び実践する場を作ること」と「江戸時代の民間教育施設であった寺子屋」の親和性に気付きました。
江戸時代の文字通りの読み書き、その対象を置き換えて、時代の先頭を走れるスキルを身に付けることができる場を創出できるのではないか、と考えました。

読む対象がハードウェアに変わり、書く対象がソフトウェアになります。

これから製品のオープンソース化はさらに進み、読み解くスキルがあることで製品を通じて社会と繋がれるようになります。
自分のアイデアやスキルが、製品を通じて世の中に発信されることで人々との繋がりを創出できるようになると思います。

プロジェクトについて

これから様々なプロジェクトが立ち上がると思われるが、1人でも多くの市民がものづくりに関心を持ち、地域、ひいては日本のものづくりについて考え、行動に移す人を増やせる取組みを実施していく予定であります。

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